今すぐ出来る安全教育

危険を伝える新たな方法
「ヘルプミーハンドサイン」を知っていますか?

危険を伝える新たな方法 「ヘルプミーハンドサイン」を知っていますか?

危険を伝える新たな方法 「ヘルプミーハンドサイン」を知っていますか?

皆さん、こんにちは。日本こどもの安全教育総合研究所理事長の宮田です。

これまで研究所では、子どもの犯罪被害防止を中心とした安全教育などに取り組んできました。子どもが自分で自分を守れる力の育成を進めていますが、小学生でもまだまだ周囲の大人の見守りや助けが欠かせませんから、子どもは大人に危険を伝えなければなりません。
今回は、この「伝える」ということについてお話しします。

危険を伝えるための手段は、主に2つ。防犯ブザーの大きな音や、大声を出すことです。ただし、防犯ブザーはその時持っていなければ使うことができません。
また、言葉で「たすけて」と大声をあげることは大人でも難しく、とりわけ意思疎通が困難な障害をもつ子どもの場合、対応できないのです。
たとえば、子どもが誘拐され車に乗せられてしまったら、この段階で子どもにできる有効な手立ては、ほとんどないのが実情です。もし大声をあげたとしても、相手が逆上して子どもを殺害するに至った事件も起こっています。加害者に気づかれずに第三者に危険を伝える方法が必要なのですが、残念ながらこの問題に対応できる方法は、現在のところ日本にはありませんでした。

日本での普及活動と傍観者にならない教育を開始

そこで注目したのが、「ヘルプミーハンドサイン」です。

ヘルプミーハンドサイン

これは、元々、女性をDVなどの暴力から守るためにカナダの女性財団が考案したのです。現在、カナダ、アメリカ、イギリス、フィリピンなどで普及が進んでいますが、英語版の映像しかなかったために日本ではまだまだ知られていません。知っていたとしても、サインに気づいたら実際にどうすればよいのかまでは、ほとんど知られていないのです。実際にアメリカで被害にあった女の子が、第三者にサインを送り助けられた事例があります。しかし、実は助けてくれた人は、被害者が何か合図を送っていることには気づいたものの、それが助けを求めるサインであることは知らなかったそうです。つまり、多くの人がこのサインを共有することができれば救える命があると考えられます。

ぜひ、このサインを日本でも活用し、誘拐をはじめとして虐待など様々な危険状態におかれた被害者を1人でも救いたいのです。とりわけ言葉を発することが困難な障害のある子どもにとっては、重要な手段となり得ます。

ハンドサインの意義と可能性

このサインの最大の特徴は、手元に防犯機器がなくても、声が出せない状況下でも、自分の手や指を使って日常的で何気ない仕草で危険を伝えられる点です。
何の準備がなくても、いつでも、どこでも、だれでも、障害により言葉による意思疎通が困難な子どもであっても、この方法を知ってさえいれば命を守る1つの方法となり得るのです。さらに、子どもだけでなく、あらゆる人。年齢や性別、障害、国籍、場面や被害に関わらず、命の危険から被害者を守るために役立てることができます。とりわけ、知的障害や発達障害のある子ども、発語のない子どもへの、SOSの出し方の指導については、福祉や防犯教育の領域でも、これまで十分に考慮されてきませんでした。このハンドサインが普及すれば、暴力などから命を守る手段が一つ増えることになり救える命があると期待できます。そのためには、まず、一人でも多くの大人や子どもたちにこのサインを知ってもらうことです。そして、サインに気づいた人は傍観者にならず、どう行動を起こせばよいのかを具体的に知ってほしいと思います。

「大事な人の命を守る」人と人との輪をつなぎたい

研究所では、2020年からサインの普及と教育に取り組んでいます。日々様々な犯罪が起こっている中で、一刻も早く日本でも多くの人たちに知ってもらい活用してもらいたいと考えSNSの力を借りることにしました。
研究所が開設したYouTubeチャンネルでは、危険を伝えるハンドサインの様々な活用場面や対応方法を動画で発信していきます。このホームページと併せて参考にしてください。

今回は、「今すぐできる安全教育」として、危険を知らせる新たな方法である「ヘルプミーハンドサイン」をご家族で共有していただきたいと思います。今後は、研究所で実施している様々な活用方法や傍観者にならないための予防教育についても学んでいただきたいと思います。

あなた自身や、あなたの大切な人を犯罪から守るために、動画を見終わったら、誰か1人、まだヘルプミーハンドサインを知らない人にも教えてあげてください。
多くの人がサインを共有することが大事です。この輪を広めていきたいと思います。
よろしくお願い致します。

こどもスマイル大冒険
※許可なく転載、複製することは禁止します。
会員入会について
協賛企業の募集