愛知県豊田市女子高校生殺害事件のその後

筆者:宮田美恵子

事件発生の2008年5月3日から既に2年が経過した。この時期はちょうどゴールデンウイークにあたることから、5月の新緑と温かな日差しの下、事件現場近くでは楽しそうに地域活動が行われており、それと背中合わせに事件現場を調査したことが思い返される。

1で述べた通り、子どもの安全対策は地域ぐるみで行われる必要があり、家庭・学校・警察などが手を組んで取り組まねばならない。事前の対策、予防が重要である。

事件発生当時、自治体などが前兆事案や不審者情報を共有できなかったことなどを反省点として、県警や教育委員会が早速新たな取り組みを立てたところ、2009年度の性犯罪認知件数2割り減などの効果が出はじめているという。

とりわけ学校を指導する教育委員会では、不審者情報の共有に力を入れシステムを整備、「緊急情報」の基準を明らかにし、県内全てに情報配信をすることにするなど、前兆発生段階から児童生徒を如何に守るのか、事前の対策と予防に力を注いでいるようだ。

さらに言えば、地域ぐるみでの平時からの予防が何より大切である。子どもの家庭で、学校で、そして地域でどう取り組んでいくのか、今一度考える時だろう。そのことを事件に遭遇してしまった愛美(まなみ)さんが教えてくれた。この事件を含め未解決事件の早期解決と、事件を風化させることなく予防体勢を確立することなどが求められる。

あらためて愛美さんのご冥福をお祈り申し上げる。 2010年5月

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